韓国にとうとうTHAADの配置が決まった。
中国からは当然激しい批難が寄せられている。
国内でも反対の声が強い。下手に中国との対立を煽り、無用の火種を生みかねないという懸念からだ。

隣人と平和に暮らしたいとき、すべきことは銃を買うことか? 対話の道を模索することか?
互いに銃を向け合っている限り、真の平和は永遠に訪れない。

韓国からはこんな記事も出ている。訳を載せる。




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朴槿恵、THAADで地獄の扉を開いた  

チョン・ウクシク平和ネットワーク代表 

2016.07.08 14:12:39

[チョン・ウクシクコラム】奇襲的で不透明、国民を愚弄した決定 

韓米両国政府がTHAAD配置の発表をついに強行してしまった。8日午前11時に「在韓米軍にTHAAD体系を配置することを韓米同盟のレベルで決定した」と公式発表したのだ。これで韓半島はもちろん、北東アジアの情勢が'THAAD政局'に急速に吸い込まれそうだ。

南南対立、南北対立、北東アジアの対立等の三つのレベルで対立が深まってから、それこそ「ヘル朝鮮」の入り口に立つようになった。韓国の地政学的リスクが再び高まり、これに中国の経済報復論まで加わり、経済的被害も避けられない見通しだ。 

韓米当局の発表の問題点は一つや二つではない。まず、発表が「奇襲的」である。両国政府はわずか二日前まで、「最終的に決定されたものはない」と言っていた。その後、週末を控えて奇襲的に発表した。 

第二に、これ以上に「不透明」になりえないほど不透明だ。最小限の情報公開や公論化の過程もなかった。一例として、朴槿恵政権はフランク・ローズ国務省次官の訪韓がTHAADとは無関係だと述べた。しかし、様々な情況を総合してみると、彼の日本-韓国ー中国への歴訪は、THAADの公式発表のためのものといえる。日本に行って「協力」の約束を受け、韓国では「最終決定」を下し、中国に行ってこれを「通報」したものと見るしかないということだ。

第三に、政府は、国民を愚弄している。国防部をはじめ政府はTHAAD配置の候補地を随時、マスコミに流し、世論を探るようなパターンを繰り返してきた。該当地域の住民が反発すると「決定ではない」と言っておきながら、結局THAADの配置を公式に決めた。最も重要な敷地選定をしていない状態で、はたしてTHAADの配置を決定できるのかどうか、疑問を感じさせるところだ。 

第四に、あまりにも「無責任」すぎる。責任ある政策決定者なら、その決定が国民生活に及ぼす影響について熟考を重ね、議論のやり取りを強化しなければならないのは基本中の基本だ。ところが、このような過程が全くなかった。その結果、THAAD配置の決定によってその被害はそのまま国民に転嫁してしまうことになる。

この決定は、THAADの配置地域住民だけでなく、経済的不確実性と安保不安が固定化され、国民生活全般に大きな不確実性につながるものだ。責任を喪失した権力集団と代表性を抑圧された国民の間の不一致が高まり、ヘル朝鮮が杞憂ではなく現実になる可能性が高まったのだ。


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▲リュジェスン国防部国防政策室長(右)とトーマス・ベンダル米8軍司令官が8日午前、
ソウル龍山区の国防省庁舎で、在韓米軍のTHAADを韓国内に配置することを確定したと発表した。
ⓒ連合ニュース


このような政策決定過程だけでなく、THAAD配置自体にも重大な問題がある。北朝鮮の核ミサイルを捕らえるのは不可能だ。むしろ北朝鮮の核ミサイル増強をあおり、軍備競争と安全保障のジレンマを激化させる恐れが大きい。中国とロシアの反対はさらに強まっている。これによって、THAAD配置は韓国を「地政学の監獄」へと導く道になるだろう。 

特に中国は、韓米両国の決定を覆すため、様々な圧力と報復手段を動員する公算が大きい。韓中間の外交関係のみ経済関係まで危機に直面することであり、それでも覆されなければ、中国の軍事的脅威までもたらすことになるだろう。 

このようにTHAAD配置は韓国の安保を堅固にしてくれる米国からの「プレゼント」ではなく、韓国の国益を総体的に脅かす「トロイの木馬」と言っても過言ではない。事情がこうであるならば、政府は直ちにTHAAD配置の決定を撤回して、原点から全面再検討しなければならない。ペンタゴンとロッキード・マーティン社がくれた資料だけを見て国家の百年大計を決めることはできないのではないか?